足して2で割る案は最悪になる
By 加賀見俊夫(実業家)
名言と呼ばれている言葉にはやはり一定のルールがあるように思います。
例えば、定説を覆すようなインパクトさ、です。
簡単に言えば、誰もが良いと思っていることを悪いと言い、悪いと思っているところを良いと言うことで、印象に残りやすくなるかと思います。
今回の、足して2で割る案というのは、一見良く聞こえますが、最悪と言っています、
実際はどうでしょう。そもそも「案」を足して2で割るという状況は対立している例えばA案とB案があった場合に使われるかと思います。
まず「案」に関して考えれば、足して2で割るというのは、当然良いところをA案とB案から半々、悪いところをA案とB案から半々、ということになります。
しかし、まず、良い、悪いの基準があいまいで、おそらく案の段階では、「良い」ではなく「良い結果を生むだろう」、「悪い」ではなく「悪い結果を生むだろう」ということが考えられます。
いろいろ経験されている方の実体験から来ている言葉だと思いますので、おそらくこのような案を採用した暁には、中途半端な案になっている為、実際は良い結果が生まれずに、悪い結果だけが生まれてくるパターンが多かったということではないでしょうか。
頭が煮詰まってきましたが、もう少し考えたくなったので、考えてみます。
例えば、価格面を優先したA案と品質面を優先したB案があるとします。
当然、A案を実行すれば価格面を重視する顧客が買う(増える)と予想され、品質面を重視する顧客が買わない(減る)と予想されます。
却ってB案を実行すればその逆で品質面を重視する顧客が買う(増える)と予想され、価格面を重視する顧客が買わない(減る)と予想されます。
この場合、足して2で割ると、どうなるでしょうか。
おそらく中途半端な価格、品質となってしまい、どちらの顧客も増えずに減るだけという可能性が高いと思います。
「案」という視点で見れば、デメリットはメリットの裏返しであることが多いです。
状況を打開するために立案するものなのに、このような中途半端な案で成功する確率はかなり低いということかと思います。
また、人の士気の問題も出てきます。
当然、A案側の人たちとB案側の人たちで話し合っているのですから、足して2で割ったらそれはもうA案でもB案でもなくなります。
A案側とB案側の人たちの気持ちとしてはどうでしょうか、いきなり成果が出始めれば良いですが、成果が出ないときは、A案のままにしていれば、B案のままにしていれば、と双方でそう考えるようになると思います。
そうなってしまうと、それ以上どうにかしようという気持ちも生まれにくい、と言いますか、もう生まれるわけがない、士気が上がらないですよね。
足して2で割る案は最悪になる、というのはあくまで加賀見俊夫さんの経験則なのでしょうが、的を得ていることと思います。
もちろん、どちらか一方を採るので、採用されなかった側の人をフォローするのも大変かと思いますので、それはそれで何とも言えないのですが。