はっとさせられる言葉たち

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二つの矢を持つことなかれ。後の矢を頼みて初の矢になおざりの心あり。

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二つの矢を持つことなかれ。

後の矢を頼みて初の矢になおざりの心あり。

by吉田兼好(随筆家)

 

 

 

鎌倉、南北朝時代の随筆家である吉田兼好の名言です。

この名言は徒然草に載っています。

本来、一つの矢だけより二つの矢を持っている方が心強いですよね。

戦場へ矢を一つ持っていくか二つ持っていくか選ぶのであれば、間違いなく二つ持っていくはずです。

でも、二つの矢を持っていれば、一本目の矢を射るとき、あともう一本あると自然と意識してしまいます。

であれば、一本目の矢はどうしても二本目よりも集中力が欠けます。

例えば一本の矢を持っている人と二本の矢を持っている人で一本目の矢の精度を比べてみたとします。

そうなれば、どうしても一本の矢を持っている人の方が一本目は集中します。

というか一本目という概念すらありませんね。

二つの矢を持つな、一本目の矢が疎かになる。

特に、何かあったとき用にと二本の矢を持っておくと、ほぼ確実にその二本目の矢を使う羽目になるでしょうね。

納得できる名言です。

とはいえ、どんな場面でも一本の矢が良いのか、というとそうでは無い気もします。

矢が一本しかない、だから失敗出来ないと考え、どうしても慎重になります。

それが二本あると、思い切って大胆に一本目の矢を射ることが出来ます。

失敗してもいいやという気持ちが起こす威勢の良さとでも言えばよいのでしょうか。

慎重さは大切ですが、時に大胆さも必要です。

その大胆さを生むのは二本目があるという余裕からでしょう。

ですので、必ずしも一本だけだ良いとは限らないとは思います。

もちろんケースバイケースではありますのでこの名言を否定する気は全くありません。

そしてもう一つ。

まず一本より二本持っていた方が良いというのが大衆論、なぜなら一本目を失敗しても二本目がある方が安心だからです。

でもそれは当たる確率が同じ場合です。

吉田兼好は当たる確率が気持ちの持ち方で変わるからこそ、二つの矢を持つなと言っています。

ただ、もし二つの矢を持ちながら、気持ちの持ち方を統一出来たらそれに越したことはありません。

ですので、これは究極の精神状態ですが、二つの矢を持ちながら一つの矢しか持っていない意識で射る。

これが最も良い方法です。

まぁこんなハイレベルな精神状態はほぼ持てないですが、ちょっと仕事に関係することもあったので、この一つの矢しか持っていないと思いながら、二つの矢を用意するという例を出しました。

それは工場での検査、です。

工場の検査で一番問題になるのは「見逃し」です。

この際に、じゃあ検査を二回しようと安易に考えるのはダメなんです。

なぜなら最初の検査員はもう一回検査してくれるからと考え、見逃しが今より増えます。

そして二回目の検査員も一回検査済みだからとして検査が疎かになります。

そうなれば、見逃しを防ぐ為の二回検査なのに、逆に見逃しが増えてしまうという。

工場管理って難しいですね。

検査員たちには二回検査していると思わせない方が結果は確実に良いのですが、それだと何だか騙している気がしますしね。

一番良いのは一回目の検査と二回目の検査を違う会社で行うことです。

例えば二回目の検査は外注に出す等。

それであれば改善はします。

ただ、もちろん費用は掛かってコストアップになるのですが。。。

これまた難しい。

 

 

 

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