背伸びして視野をひろげているうち、
背が伸びてしまうこともあり得る。
それが人生の面白さである。
by城山三郎(作家)
城山三郎さんの名言です。
背伸びをしていたら、いつか背が伸びていた。
自分の能力以上のことを必死にやっていたら、それに慣れてしまって普通になったという経験はあると思います。
私にもこういった経験はあるのですが、必死でやっているうちに気付いたら慣れているパターンですので、自分では気付きにくい。
私の経験談で言えば、私は会社に入って10年目、それ相応に後輩は出来たのですが、インドネシアで勤務する日本人の中では一番若い、それゆえ、いつまで経っても、若手という気概が抜けません。
本社にはもちろん後輩がいるのですが、会う機会もほとんどない為、実感が湧きません。
そのくせ、何十人と現地従業員の部下がいるわけですから変な感じといえば変な感じなのですが。
私の会社では、新人研修としてインドネシア研修が組み込まれており、定期的に新人が研修に来ていました。
その時の私は、「いや、新人が来られても、自分も新人に毛の生えたようなレベルだしな」と、私に教えられるようなことが果たしてあるかな?と思っていました。
そして、この研修時に他社工場へ新人を伴って訪問するのが常です。
これは、とある一つの工場訪問時のエピソードです。
その工場への訪問は今まで何度かしていて、気楽に構えていたのですが、行ってみたら、社長や工場長、部門長など、その会社の上層部が出迎えてくれたのでした。
実は直前でその会社の担当が交代していたので、工場見学といえども対応が前担当とは違っていたのでした。
てっきり私は、当日会うのはその担当者だけと思っていたので、面食らいました。
こちら側は私と新人君のみ、一方、お相手は50代以上の方々がずらっと並んでいました。
内心は「おいおい聞いてないよ」です。
それでも、私にはこっちで学んだ知識と培った経験があったので、会話に詰まるようなことは無かったのですが、内心は「早く工場を見せてもらって帰りたい」でした。
無事に工場見学を終了し、その会社を後にして、新人君に話しかけました。
「いやぁ、あんなに上の人が出てくると思ってなかったからさぁ、勘弁してほしいわぁ。俺、変なこと言ってなかった?」と。
そしたら新人君が「確かに雰囲気から当初の想定とは違ったんだろうなぁという気はしましたけど、全然そんなことは無かったです。大変心強かったです」と。
そのとき私は、自分でも気付かないうちに上の立場が少し板に付いてきたのかなぁと思いました。
話は変わりますが、自分では気付かなくても、他人については背伸びが続いて背が伸びたなと思うことはあります。
それは自分の部下のことです。
部下の中で定年を迎えて退社すれば、当然、その後任者が各部門から出てくるのですが、最初にその後任者を見ると、いつも頼りない感じがしてしまいます。
もちろん初対面では無いですから、彼が後任で大丈夫か?という気持ちです。
しかし、この頼りなさそうな後任者が徐々にその部門長としての貫禄が出てくるんですね。
必死さが次第に薄れ、1年もすれば「ずっと前から部門長でしたが、何か?」という感じです。
部門長というのは彼らからしたら背伸びだったはずです。
背伸びは疲れるなぁと思ってかかとを地面につけてみるとびっくりする、あれ、背伸びしているときとそんなに変わらないな、と。
私はこのコロナで精神的に疲れていたので、意図的に仕事の手を緩めようと考えていました。
そして実際に緩めました。
しかし、緩めても、案外うまく回るし、おそらく他人からは何も思われていない、勿論仕事に支障は出ていない。
これは、新たな気付きでした。
逆に緩めたからこそ、他の仕事にも手が回るようになり、これはこれで大切な事なのかもと最近思いました。
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